腸内環境不全とうつ病の関係 -その1-

薬で治らない辛いうつ病に腸内環境不全が関わるケースが増えています。

心の病気と腸内環境

腸内フローラ(腸内細菌)と腸内環境不全状態の関係

「腸内細菌」とは何ですか

・約100~3000種類、100兆-1000兆個が10mの腸内に生息していて、重量では1kg-2kgになります
(ちなみに、人の

体全部の細胞数は35~100兆個)

腸内フローラ(腸内細菌)

腸内フローラ(腸内細菌)

・善玉菌

全体の菌の約2割を占め、ビフィズス菌、乳酸菌が主体です。
(乳酸菌(Lactobacillus属)は酸素がある小腸上部に大半が存在しています。
ビフィズス菌は乳酸菌の一種であり、酸素のない大腸のみに存在しています)

・悪玉菌

全体の菌の約1割を占め、ウェルシュ菌(病原性クロストリジウム菌など) 、病原性大腸菌などです。

・日和見菌

全体の菌の約7割を占め、通常非病原性の菌類
他の菌の影響を受けて、状況により善玉菌作用又は悪玉菌作用に変化します。

善玉菌と悪玉菌、日和見菌

日和見菌は状況により善玉菌作用又は悪玉菌作用に変化します

・プロテオバクテリア大腸菌
・バクテロイデ菌(日和見菌の約4割)
・フィルミクテス菌(ユーバクテリウム菌、ルミノコッカス菌、非病原性クロストリジウム菌)

◆プロバイオティクスとは?
生きたまま腸内に到達可能な善玉菌(乳酸菌、ビフィズス菌)です

◆プレバイオティクスとは?
食物繊維やオリゴ糖など腸内の善玉菌が栄養源に利用できる食品のこと

◆シンバイオティクスとは?
プロバイオティクスとプレバイオティクスの両方の機能がある食品のこと

善玉菌の働き

細菌やウィルスなどの侵入を防御

・病原体の侵入を防ぐ
・未消化物の分解
・有害物質の解毒や排泄作用

などがあります。

腸内環境を保つことにより、免疫力を高め細菌やウィルスなどの侵入を防御しています。

また酸性度を保ち悪性菌が繁殖しにくい環境を作っていいます。

口から摂取した未消化物の分解、肝臓からの解毒物質を含めた異物の体内からの排除を行います。(体内にある有害物質の80%は腸から排泄されています。しかし、腸内環境が悪いと、毒物が再吸収されてしまいます。)

短鎖脂肪酸の合成

ヒトは、自力で食物繊維(多糖類のセルロース)を消化する消化酵素を持っていません。
大腸内の腸内細菌が発酵することによって、酢酸、酪酸やプロピオン酸のような短鎖脂肪酸に変換されてエネルギー源として吸収されます。(健常者では、これらの3種類が短鎖脂肪酸の97%を占めています。)

食物繊維は、大腸内で腸内細菌により食後長時間かけて体内にエネルギーとして吸収されるため血糖値を安定させる作用をしています。

腸内細菌が産生した酪酸は、大腸前癌病変の形成が抑制され、大腸がんを予防、抑制する可能性が指摘されています。(日本では宮入菌が酪酸を作る酪酸菌として有名で、整腸剤ミヤB Mとして用いられています。)

ビタミンB群の合成

腸内細菌は、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンK、葉酸、パントテン酸、ビオチンなどのビタミン類の生成をしています。

体内の免疫細胞の7割が腸で産生されています。

免疫細胞(リンパ球)は、小腸の壁のパイエル板(リンパ節)に存在し、腸内を存在するさまざまな細菌やウイルス、食べ物のかけらなどの異物に接触することで、人体にとって有害な相手を認識できるようになり、適切に体内異物に免疫反応することを学習します。
そのリンパ球が全身を循環し、また腸に帰って来ることを繰り返しています。(これを、リンパ球のホーミングと言います。)そのため、腸内環境が悪いと免疫細胞が十分な学習ができずに免疫力の低下や、逆に過剰免疫が起こります。

ドーパミンやセロトニンを合成する前駆物質の産生

多くの実験から、腸内善玉菌がセロトニンやドーパミンなどのホルモンの元になる物質や脳神経成長因子(BDNF)を産生し脳に送っていることがほう報告されており「腸は第二の脳である」と言われています。

悪玉菌の悪影響

悪玉菌は上記の善玉菌の働きを阻害します

・免疫力が低下し感染やアレルギー反応が起きやすくなります。
・腸内での未消化物の腐敗、発酵が生じて胃腸機能に異常が生じてきます。
・様々な毒素が解毒、排泄しきれなくなり体内に残留し、蓄積が生じます。
必要な栄養素の吸収やビタミンなどの不足による細胞の働きが低下するだけでなく、毒物による細胞の新陳代謝が悪くなり、様々な臓器や組織の機能低下をきたします。
・脳神経機能の低下に伴う精神症状や身体症状をもたらします。

悪性菌は腸粘膜細胞を破壊します

リーキーガット症候群(腸漏れ症候群or腸管壁浸漏症候群)
悪性菌は、腸粘膜細胞を分解する消化酵素を分泌し、異物の防御壁である腸粘膜に穴をあけます。そのため、正常では簡単に侵入することが出来ないはずの病原菌、菌体毒素、有害化合物や重金属、未消化食物残渣などの異物が体内に取り込まれ、全身的な感染症、アレルギー、免疫異常などが生じて、急性炎症や慢性炎症が体内で繰り返されることになります。
これがリーキーガット症候群(腸漏れ症候群))の発症メカニズムです。

リーキーガット症候群

リーキーガット症候群

悪玉菌が作る菌体毒素や有害物質の体内拡散

・慢性炎症
・細胞の新陳代謝異常
・ホルモンバランスの異常
・脳神経や自律神経の異常、
・免疫異常
など様々な障害の原因になります。

次回は腸内環境不全による症状についてお話します。