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自律神経失調症の原因と、なりやすい人の特徴

自律神経失調症」とは、交感神経と副交感神経から成る自律神経のバランスが崩れ、身体や心に様々な不調が現れる状態を指します。医学的には厳密な病名ではなく、「自律神経の調節障害による不定愁訴(原因がはっきりしない身体の不調)」を広く示す総称です。

自律神経失調症は、身体的な病気が検査で見つからないにも関わらず、めまい、動悸、息苦しさ、疲労感、胃腸障害、不眠、不安感などが慢性的に続くのが特徴です。その原因やなりやすい人の傾向を理解することは、予防や治療に大きく役立ちます。

 

<自律神経失調症の主な原因>

  1. 精神的ストレス

最大の要因は「精神的ストレス」です。仕事や人間関係、家庭問題、学業、将来への不安など、現代社会は多くのストレス因子に満ちています。慢性的なストレスがかかると交感神経が過剰に働き、副交感神経が抑えられ、結果として自律神経のバランスが崩れます。

  1. 不規則な生活習慣

睡眠不足、昼夜逆転、不規則な食事、過度なカフェイン・アルコール摂取などの生活習慣も、体内時計や自律神経のリズムを乱す原因になります。特に睡眠は副交感神経の働きを回復させる重要な時間であり、慢性的な寝不足は自律神経失調症を引き起こしやすくします。

  1. 過労・身体的疲労

長時間労働や過剰な運動などによって身体に負担がかかると、自律神経が過緊張状態に陥りやすくなります。身体の疲れと心のストレスが重なると、交感神経が慢性的に優位となり、リラックスできなくなってしまいます。

  1. ホルモンバランスの変化

女性の場合、思春期、妊娠、更年期など、ホルモンの変化によって自律神経が影響を受けやすくなります。特に更年期にはエストロゲンの分泌が減少し、自律神経が乱れやすくなるため、ホットフラッシュや不眠、気分の浮き沈みなどが起こりやすくなります。

  1. 気候や環境の変化

急激な気温の変化、気圧の低下、湿度の変動なども自律神経の乱れを引き起こす要因となります。いわゆる「気象病」や「天気痛」と呼ばれる症状も、自律神経の調節不全と関係しています。

  1. 性格傾向

後述しますが、まじめで几帳面、責任感が強いタイプの人は、自律神経失調症に陥りやすい傾向があります。これは性格とストレス耐性に関係しており、外部環境に対する感じ方の差異が影響します。

 

<どのような人が自律神経失調症になりやすいか?>

下記のような特徴を持つ人は、自律神経失調症になりやすいといわれています。当てはまる項目が多い方は注意が必要です。

  1. 責任感が強く、完璧主義な人

「きちんとしなければ」「失敗してはいけない」と常に自分を律している人は、無意識のうちに交感神経を働かせて緊張状態を続けがちです。このような性格傾向は、精神的ストレスを受けやすく、自律神経を乱しやすくなります。

  1. 几帳面で神経質な人

細かいことが気になる、他人の言動に敏感に反応する、思い込みが強いなどの傾向がある人は、交感神経が過剰に優位になりやすく、リラックスすることが苦手です。そのため、副交感神経が十分に働かず、体調の回復や休息が妨げられます。

  1. 環境の変化に弱い人

転勤、転校、引っ越し、進学、就職、結婚など、生活環境が大きく変わった際に、なかなか適応できない人も注意が必要です。新しい人間関係や生活リズムにストレスを感じやすく、体の反応が強く出るタイプです。

  1. 夜型・不規則な生活をしている人

夜更かしや昼夜逆転の生活を送っている人は、体内リズム(サーカディアンリズム)が乱れがちで、睡眠の質が低下します。これが自律神経の不安定化を招き、日中に疲れやすくなったり、集中力が落ちたりします。

  1. 女性、とくに思春期・妊娠中・更年期の人

前述のように、女性ホルモンは自律神経と密接に関係しています。エストロゲンとプロゲステロンのバランス変化が自律神経に影響を与えるため、ホルモン変動の大きいライフステージの女性は、自律神経失調症のリスクが高くなります。

  1. 過去にストレス関連疾患の既往がある人

うつ病、パニック障害、不安障害など、過去に心身のストレス反応に関係する病歴がある人も、自律神経が不安定になりやすく、再発や併発に注意が必要です。

 

*まとめ

自律神経失調症は、ストレス社会に生きる現代人にとって、非常に身近な問題です。原因は多岐にわたり、精神的なストレス、不規則な生活、過労、ホルモンバランスの乱れ、気候の変化など、様々な要因が絡み合って発症します。

特に、責任感が強くまじめな人、神経質な人、不規則な生活をしている人、ホルモンバランスが乱れやすい女性などは、発症リスクが高くなります。早期に自分の状態を見つめ直し、生活リズムを整えることや、ストレスをうまく発散する方法を見つけることが大切です。

また、症状が強い場合は、心療内科や漢方、カウンセリングなどの専門的サポートを受けることも有効です。自律神経失調症は「こころとからだのSOS」です。決して無理をせず、自分のペースで回復を目指しましょう。

 

ミチワクリニック

院長 佐久間一穂