パニック障害

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パニック障害とは

パニック障害は「突然起こる強い不安」によって
生活に支障をきたす病気です

パニック障害は、突然激しい動悸や息苦しさ、めまい、発汗、死の恐怖などを伴う発作(パニック発作)が繰り返し起こる精神疾患です。初めての発作では、「このまま死んでしまうのではないか」と感じるほどの恐怖を覚えることもあり、救急搬送されるケースも少なくありません。

これらの発作は明確な理由や危険がないにもかかわらず突如として起こり、さらに「また起きるのでは」と強く不安になることで、生活の質(QOL)が大きく損なわれてしまいます。

パニック障害のチェックリスト

以下は、自己チェックとして利用できる簡易的な質問項目です。
正式な診断には専門医の評価が必要です。

パニック障害セルフチェック はい いいえ
①突然、強烈な不安や恐怖に襲われることがある
②発作時に心臓がドキドキし、息苦しさを感じる
③発作がいつ起こるか分からず不安になる
④発作が繰り返し起こる
⑤発作後、「また起こるのでは」と過度に心配する
⑥人混みや閉鎖空間を避けるようになった
⑦発作を恐れて外出を控えることがある
⑧医療機関で検査しても身体的異常が見つからない
⑨「死ぬのでは」と思うほどの恐怖を感じたことがある
⑩これらの症状により生活が制限されている

【判定の目安】

3項目以上「はい」がある場合、パニック障害の可能性があります。
専門医の受診をお勧めします。

発症頻度・年齢・性別

  • 生涯で約2~3%の方が
    発症するとされる比較的
    よくある病気です
  • 女性は男性の約2倍
    発症しやすい傾向が
    あります
  • 初発年齢は
    20~30代が中心です

主な症状

【パニック発作の典型的な症状】


  • 動悸・心拍数の増加
  • 呼吸困難・息苦しさ
  • 発汗(冷や汗を含む)
  • 震え・ふるえ
  • めまい・ふらつき・気が遠くなる感覚
  • 胸の痛み・不快感
  • 吐き気・腹部の不快感
  • 非現実感・自分が自分でないような感覚
  • 「このまま死んでしまうのではないか」という恐怖
  • コントロールを失う恐怖・気が狂うのではという感覚
【パニック発作の典型的な症状】

これらの症状が10分以内に急激に高まり、30分~1時間程度でおさまるのが特徴です。

パニック障害の進行と関連症状

予期不安(発作の再発への恐れ)

「またあの苦しい発作が起こるのでは」と常に不安を抱えるようになります。
外出や電車に乗るのを避けるなど、行動の制限が始まるきっかけになります。

広場恐怖(回避行動)

発作が起きた場所や、逃げ場のない場所(電車、バス、エレベーター、混雑した場所など)を避けるようになります。
重症化すると、自宅から一歩も出られなくなることもあります。

パニック障害の原因

パニック障害の原因は脳内の神経伝達物質のバランスの乱れにあると考えられています。
特に、セロトニンやノルアドレナリンの働きの異常が指摘されています。

また、以下の要因も関与していると考えられています:

  • ストレス(職場・家庭・人間関係の問題など)
  • 過労・睡眠不足
  • 体質的な不安の感じやすさ(遺伝的素因)
  • 性格傾向(几帳面・責任感が強い・完璧主義)
  • 過去のトラウマ体験
パニック障害の原因

パニック障害の診断

診断は精神科・心療内科の医師によって行われます。具体的には以下のような基準が参考にされます:

  • 明確な身体疾患がないにもかかわらず、繰り返しパニック発作が起こる
  • 発作に対して強い「予期不安」がある
  • 発作を恐れて行動が制限されている(回避行動がある)
  • 生活や社会的機能(仕事・家庭・学業など)に支障をきたしている

パニック障害の治療

当院では、薬物療法と心理療法やリラクゼーションなど総合的なアプローチを行っています。

薬物療法

  • SSRI(抗うつ薬):脳内のセロトニンを調整し、パニック発作の頻度や強さを抑える。
  • 抗不安薬:即効性がありますが、依存性のリスクを考慮し、短期間・最小量を原則とします。
  • 漢方薬:体質に応じて、不安や自律神経の乱れの改善をはかります。

認知行動療法(CBT)

「発作が起きる→怖い→避ける」という悪循環を断ち切るため、考え方の癖や行動パターンを修正していく心理療法です。再発予防にも効果的です。

  • 不安を引き起こす「考え方のクセ」を修正
  • 曝露療法(不安刺激に徐々に慣れる)
パニック障害の治療

漢方・リラクゼーションによる自律神経調整

  • 漢方薬:体質に応じて、不安や自律神経の乱れの改善をはかります。
  • 按腹マッサージや温熱療法により自律神経を整えます。

パニック障害の予後と回復のポイント

適切な治療を受ければ、多くの方が日常生活を取り戻すことが可能です。早期発見・早期治療が非常に大切です。

【回復のポイント】

  • 「これは命に関わる病気ではない」と理解する
  • 焦らず、少しずつ行動範囲を広げていく
  • 睡眠・食事・休息のバランスを整える
  • 周囲の理解と支援を得る(家族や職場への説明も重要です)

こんな症状でお悩みではありませんか?

  • 電車やバスに乗るのが怖い
  • 人混みや閉鎖空間で発作が出る
  • 突然息苦しくなり、救急にかけこんだ
  • また発作が起こるのではと常に不安
  • 病院では異常なしと言われたが、つらさが続いている
その症状、パニック障害かもしれません。
パニック障害は「心の病気」というより、「脳の一部が過敏になっている状態」です。放置すると生活に深刻な影響を及ぼしますが、適切に治療すれば十分回復可能です。
一人で抱えずに、どうぞご相談ください。