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自律神経失調症の治療~医療的ケアについて~

近年、「なんとなく体がだるい」「寝ても疲れがとれない」「めまいや動悸がする」といった症状を訴える方が増えています。病院で検査を受けても明確な異常が見つからず、原因がはっきりしないために不安を抱えながら日常生活を続けている方も少なくありません。このような症状の背後にある原因のひとつとして注目されているのが「自律神経失調症」です。

自律神経失調症は、ストレスや生活習慣の乱れ、また、うつ病や不安障害などが引き金となって心と体のバランスが崩れる状態を指し、多様な身体症状や精神症状を引き起こします。心療内科では、自律神経失調症を単なる体の不調として捉えるのではなく、「心と体の相互作用」として診療し、薬物療法やカウンセリング、生活指導、漢方治療など多角的なアプローチで改善を図ります。

当院における自律神経失調症の医療的ケア

心療内科では、自律神経失調症に対して「心と体の両面からのケア」が最も重要と考えています。当院では以下のような多面的なアプローチを行っています。

 

  1. 丁寧な問診と心理評価

まず最も大切にしているのは、「丁寧な問診」です。症状がいつから、どのような場面で現れるのか、生活習慣や職場・家庭のストレス状況、過去の病歴などを細かく伺います。また、必要に応じて心理テストや自律神経バランスを測定する検査も実施し、心身両面の状態を客観的に把握します。

 

  1. 薬物療法

    症状が強く日常生活に支障をきたしている場合は、適切な薬物療法を行います。使用する薬剤は症状や体質に応じて異なります。

    • 自律神経調整薬:自律神経のバランスを整える目的で使用される薬。
    • 抗不安薬:強い不安や緊張がある場合に使用。
    • 抗うつ薬(SSRIやSNRIなど):気分の落ち込みや意欲の低下がある場合に使用。
    • 睡眠導入剤:不眠が主症状の場合、必要に応じて短期間使用。

      なお、薬物療法はあくまで対症的なものであり、根本的な体質改善やストレス対処を目指すためには、他の治療と併用することが推奨されます。

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    1. カウンセリング・心理療法

      自律神経の不調は、心の状態と密接に関係しています。心理的ストレスの整理や対処法の獲得のために、当院では臨床心理士によるカウンセリングを実施しています。

      *認知行動療法(CBT):考え方のクセや行動パターンを見直すことで、症状の軽減を目指します。                         *ストレスマネジメント:ストレスに対する反応を理解し、対処スキルを学びます。                                *リラクゼーション法:呼吸法や筋弛緩法などを習得し、日常生活で心身を落ち着ける技術を身につけます。

 

  1. 生活習慣の見直しと指導

    自律神経を整えるためには、日々の生活リズムを整えることが重要です。当院では以下のような生活習慣の見直しを行っています。

    • 睡眠の質の改善:起床・就寝時間の安定、寝室環境の整備など。
    • 食生活の指導:栄養バランスを重視し、胃腸に負担をかけない食事を推奨。
    • 適度な運動:ウォーキングやストレッチ、ヨガなど、自律神経に良い影響を与える運動の提案。
    • スマートフォンやPCの使用時間の調整:脳の過剰刺激を避けるためのアドバイスも行います。

 

  1. 東洋医学(漢方治療)

    当院では、西洋医学だけでなく東洋医学的な視点からの治療も重視しています。特に、体質改善や慢性的な不調に対しては、漢方薬が非常に有効です。

    • 体質や症状に応じた漢方薬の処方(例:加味逍遙散、半夏厚朴湯、柴胡加竜骨牡蛎湯など)
    • 冷えや胃腸虚弱、気血水の乱れを整える治療方針

      漢方治療は、副作用が比較的少なく、慢性症状の改善に適しているため、薬に抵抗感のある方や体質改善を望む方に特におすすめです。

 

6.遠赤外線温熱治療按腹療法のご紹介

遠赤外線温熱治療> 体の深部から温め、自律神経を整える

遠赤外線温熱治療は、遠赤外線を利用して身体の深部まで優しく温める治療法です。体表面だけでなく内臓や筋肉層まで温熱が届くため、血流やリンパの流れを促進し、冷えやこわばりを和らげます。

自律神経への主な効果:

・副交感神経の活性化:深部加温によってリラックス状態が生まれ、副交感神経の働きが優位になります。

・ストレス緩和:温熱による心地よさが、精神的な緊張や不安を和らげます。

・睡眠の質向上:体温リズムの調整を通して、自然な眠気を促します。

・内臓機能の改善:特に消化器系の血流が改善され、胃腸の不調の緩和にもつながります。

按腹療法お腹から整える、東洋医学の智慧

按腹療法は、東洋医学に基づく伝統的な手技療法で、お腹を中心にやさしく触れたり、押したりして、内臓の働きと気の流れを整える方法です。お腹には「腸脳相関」と呼ばれるように、腸と脳が密接に連携しており、精神状態とも大きな関わりがあります。

自律神経への主な効果:

・腹部の緊張緩和:腸の緊張をほぐすことで、副交感神経を活性化し、全身のリラックスを促します。

・腸内環境の調整:便秘や腹部膨満感など、自律神経由来の消化器症状を和らげます。

・呼吸の改善:横隔膜の動きを柔らかくすることで、呼吸が深くなり、自律神経の安定化につながります。

・心身の安心感:お腹へのやさしい刺激は、心理的にも「守られている」感覚を生み、安心感や落ち着きを引き出します。

こんな症状でお悩みの方におすすめです

・ストレスによる不眠や疲労感が続いている

・冷え性や胃腸の不調が慢性的にある

・気分の落ち込みや不安感が強い

・自律神経失調症と診断されたことがある

・薬に頼らず、体に優しい治療を試してみたい

心と体を、やさしく整える治療を

遠赤外線温熱治療と按腹療法は、いずれも「身体の内側から整える」ことを重視した自然療法です。強い刺激を伴わず、副作用もほとんどなく、リラックスした時間の中で心身を調和させていきます。

薬物治療だけに頼らない、やさしく穏やかなアプローチをお探しの方は、ぜひ当院にご相談ください。

 

まとめ

自律神経失調症は、単なる「気のせい」や「疲れ」ではなく、れっきとした身体と心の不調です。症状は目に見えにくく、周囲の理解が得られにくいことも多いため、ご本人が孤独を感じてしまうことも少なくありません。しかし、自律神経のバランスは回復可能です。心と体の状態を丁寧に見つめ、適切な治療を行うことで、症状は確実に改善していきます。

当院では、薬だけに頼らない包括的な医療を提供しています。もし、「原因のわからない体調不良」にお悩みの方がいらっしゃいましたら、どうぞお気軽にご相談ください。ご自身のペースで、無理なく改善への一歩を踏み出していきましょう。

 

ミチワクリニック

院長 佐久間一穂

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