夜型タイプの方はうつ病になりやすい?
〜体内時計とこころの健康の深いつながり〜
最近、「夜型の生活を続けていたら気分が落ち込みやすくなった」「朝がつらくて何もやる気が出ない」といったご相談をよくいただきます。
実は、私たちのこころの状態には、「体内時計(概日リズム)」が大きく関わっています。そして、夜型の生活習慣を続けている方は、うつ病のリスクが高まる可能性があることが、近年の医学研究で明らかになってきました。
今回は、夜型タイプとうつ病との関係について、最新の医学的知見をもとにわかり易くご説明いたします。
■「夜型タイプ」とは?
人には「朝型」「中間型」「夜型」といった体内時計のタイプ(クロノタイプ)があり、これは生まれつきの傾向と生活習慣によって決まります。
・朝型の人:早寝早起きが得意で、午前中に元気が出るタイプ
・夜型の人:夜になるほど目が冴え、朝の活動が苦手なタイプ
特に10代〜20代の若い世代には夜型傾向が多く見られます。最近ではスマートフォンや照明の影響もあり、夜型生活を送る人が増えています。
■夜型生活とうつ病の関係
多数の調査により、「夜型生活をしている人は、うつ病のリスクが高くなる傾向がある」ことが分かっています。
▶ アメリカの研究
7万人以上を対象にした大規模調査では、朝型の人は夜型の人よりも、うつ病のリスクが約27%低いと報告されています。
▶ 日本の研究
日本でも、夜型の生活をする人ほど気分の落ち込みが強く、不安や抑うつ傾向が高いという結果が出ています。
■なぜ夜型だとうつ病になりやすいの?
夜型生活によって引き起こされる身体やこころへの影響を、以下にご紹介します。
① 体内時計の乱れ
本来、朝に光を浴びることで体内時計はリセットされます。しかし夜型の人は、朝の光を浴びる時間が少なく、体内時計がどんどん遅れてしまうため、睡眠リズムが乱れてしまいます。
② 睡眠不足や質の低下
夜更かしをすると、仕事や学校の都合で十分な睡眠が取れなくなることが多くなります。慢性的な寝不足は、気分の落ち込みや集中力の低下を招きやすくなります。
③ 社会とのズレによるストレス
夜型生活の人は「朝が苦手」「遅刻が多い」「パフォーマンスが出ない」などの悩みを抱えやすく、自己評価が下がり、ストレスをため込みやすくなることがあります。
④ セロトニン不足
幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」は、日中に太陽の光を浴びたり、体を動かすことで活性化します。夜型生活の人はこれが不足しやすく、気分が落ち込みやすくなる傾向があります。
■夜型生活を見直すことで、うつ予防につながります
夜型傾向そのものが悪いわけではありませんが、現代社会は朝型の生活リズムを前提として動いています。そのため、生活リズムを整えることが、うつ病の予防・改善にとても効果的です。
<おすすめの生活習慣>
・朝起きたらカーテンを開けて光を浴びましょう
・就寝時間・起床時間を一定に保ちましょう
・寝る前のスマホやパソコンは控えめに
・軽い運動や散歩など、日中の活動量を増やしましょう
当院では、こうした生活リズムの見直すための診療も行っております。夜型生活にお悩みの方、うつ症状が心配な方は、お気軽にご相談ください。
■まとめ
・夜型生活を続けていると、体内時計が乱れ、うつ病のリスクが高くなる可能性があります。
・睡眠の質や生活リズムを整えることは、うつ病の予防・改善にとって非常に重要です。
・生活習慣の見直しや、必要に応じた治療を受けることで、より良いこころの健康を目指すことができます。
< ご相談をご希望の方へ>
当院では、夜型生活や不眠、うつ症状にお悩みの方に対し、心身両面からのサポートを提供しております。初診は予約制となっておりますので、ご希望の方は「お問い合わせフォーム」またはお電話でご連絡ください
参照文献
アメリカの大規模調査(2018年)
PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29860110/
日本の研究
PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28107042/
院長 佐久間一穂
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