夜型生活・ビタミンD不足とうつ病の深い関係
〜生活リズムと栄養が心の健康を左右します〜
「夜型の生活が習慣になっている」「朝が弱く、日中もなんとなく気分がすぐれない」——そのような方は少なくありません。
実は、夜型生活を続けている人は、ビタミンDが不足しやすく、結果的にうつ病のリスクが高まることが、近年の医学研究で明らかになっています。
「夜型の生活リズム」「ビタミンD不足」「うつ病」の三者の関係について解説いたします。
<夜型タイプとうつ病の関連性>
最近、夜型タイプの人がうつ病に罹りやすいことや、うつ病の治療に広く用いられている抗うつ薬(SSRI)に対する効果が十分得られないことが報告され、注目を集めています。
◆ 体内時計のズレによる不調
夜型生活は、睡眠リズムを乱し、体の「体内時計」と現実の時間とのズレが慢性的に起こることで、心身にストレスがかかります。
◆ 日光を浴びる時間の不足
夜型の人は、朝遅くに起きて日中も屋内にいることが多いため、太陽光を浴びる時間が非常に少なくなります。
このことが、ある重要な栄養素——ビタミンDの不足に関連しています。
<ビタミンDとは?心の健康との関わり>
◆ ビタミンDの役割
ビタミンDは、骨の健康に必要な栄養素として知られていますが、実は脳の働きや感情の安定にも関わっている重要な物質です。
- 主な供給源:日光を浴びたときに皮膚で合成/魚・きのこなどから摂取
- 働き:脳内のセロトニン生成、神経保護、炎症抑制など
◆ ビタミンDが不足すると?
ビタミンDが不足すると、以下のような影響が心の健康に現れる可能性があります。
① セロトニン不足
感情を安定させる神経伝達物質「セロトニン」の合成が低下し、気分が落ち込みやすくなります。
② 脳の炎症や神経系への影響
ビタミンDには脳の炎症を抑える作用があり、不足すると神経の働きに悪影響が出る可能性があります。
③ 睡眠障害の誘発
ビタミンDの不足は、睡眠ホルモン「メラトニン」のリズムを乱す要因にもなり、夜型傾向をさらに助長してしまいます。
👉️夜型タイプ=ビタミンD不足=うつ病リスク上昇の連鎖
以下のような悪循環が起きやすくなります:
- 夜型生活
↓ - 太陽光を浴びる時間が少なくなる
↓ - ビタミンDが不足する
↓ - セロトニンが減り、睡眠や感情が不安定に
↓ - うつ病のリスクが高まる
このように、生活リズムと栄養(ビタミンD)が密接に関わりながら、心の健康を左右していることが、近年の研究で裏付けられています。
実際の研究結果
・海外の研究で、うつ症状のある人は血中のビタミンD濃度が有意に低いことが示されています。(*1)
・ビタミンDの補充によって、軽度〜中等度のうつ症状が改善したとの報告もあります。(*2)
ただし、補充の効果には個人差があるため、自己判断での大量摂取は避け、医師の指導のもと行うことが重要です。
<自分でできる対策は?>
心の健康を守るために、以下のような生活習慣を見直すことが効果的です。
① 朝の光を浴びる
起床後すぐにカーテンを開け、日光を浴びることで体内時計がリセットされます。
②夜更かしを控える
就寝前2時間はスマホ・テレビを避け、リラックスした時間を過ごしましょう。
③食事にビタミンDを意識する
魚(サケ・サンマなど)やキノコ類、卵を積極的に取りましょう。
④ビタミンDの状態をチェック
ご希望があれば当院でも血中ビタミンDの測定を行っています。気になる方はご相談ください。
まとめ
夜型生活は現代社会において増加傾向にありますが、ビタミンD不足とそれに伴ううつ傾向との関連性は見過ごせないテーマです。
心の不調を感じたとき、原因は「こころ」だけでなく、生活習慣や栄養の乱れにあるかもしれません。
当院では、心身両面からの診療を大切にし、生活リズム・栄養状態・ストレス環境までを総合的に考慮した治療・アドバイスを行っています。夜型傾向やビタミンD不足、ビタミンD検査に関するご相談も、どうぞお気軽にお寄せください。
参考文献:
*1)Vitamin D deficiency and depression in obese adults: a comparative observational study – PubMed
院長 佐久間一穂
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