頭の中に繰り返し浮かんできて、どうしても気になってしまう考えやイメージのことです。
たとえば…
こうした考えは本人にとってつらく、「そんなことないはず」とわかっていても、何度も頭に浮かんできます。
強迫観念からくる不安や不快感を落ち着かせようとして、ついやってしまう行動です。
たとえば…
このような行動をやめようとすると、不安が強くなってしまうため、自分でも苦しい思いを抱えてしまいます。
※多くの人は強迫観念と強迫行為の両方を持っていますが、いずれか一方のみの場合もあります。
脳の中でも「不安や判断」に関わる部分(前頭葉や線条体)に、情報のやり取りの偏りがあることがわかっています。
また、「セロトニン」という神経伝達物質の働きのバランスが関係しているとも言われています。
といった性格傾向が強い方が、発症しやすいとされています。
などが引き金になることもあります。
強迫性障害(OCD)の治療では、「認知行動療法(CBT)」という心のトレーニングのような治療法が効果的です。
ここでは、認知行動療法の中でも特に有効な「曝露反応妨害法(ERP)」の流れをご紹介します。
「どんな場面で不安を感じるか」「どんな行動をやめられないか」を一緒に確認し、気持ちや習慣を見える形に整理していきます。
無理に話す必要はなく、ペースに合わせて少しずつ進めますのでご安心ください。
強迫行為をやめるのはとても勇気がいります。
そのため、「いきなり大きなこと」ではなく、「小さなステップ」から取り組んでいきます。
たとえば:
●ドアノブを触った後、手を洗うまでの時間を5分だけ我慢してみる
●火の元の確認を1回だけにしてみる
など、できそうなことから始めていきます。
「不安になること(曝露)」をあえて体験し、そのあと「いつもの行動(反応)」をしないようにしてみます。
初めはとても緊張しますが、やってみると「意外と大丈夫だった」と感じられることが多く、不安が少しずつ小さくなっていきます。
練習を重ねるうちに、「強迫行為をしなくても落ち着いていられる」ことが増えてきます。
このプロセスを通して、不安との付き合い方を学び、自分自身を取り戻していきます。
治療が進むと、日常生活でも自然に「強迫行為をしなくても大丈夫」と感じられるようになります。
再発を防ぐポイントも一緒に確認しながら、自分の力でこころのバランスを保てるようサポートします。
不安に立ち向かうのではなく、
「慣れていく」ことが大切です
認知行動療法では、「不安をなくす」ことを目指すのではなく、「不安があっても振り回されずに過ごせる力」を育てていきます。
そのため、無理せず・焦らず・少しずつが合言葉です。
「できたこと」を少しずつ積み重ねながら、心にやさしく取り組んでいきましょう。