社交不安障害

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社交不安障害
(社会不安障害)とは?

社交不安障害(Social Anxiety Disorder:SAD)は、人前で話す、注目を浴びる、評価されるといった社会的な場面において、強い不安や恐怖を感じる精神疾患です。単なる「恥ずかしがり屋」や「内向的な性格」とは異なり、不安の程度が強く、日常生活や仕事、学業、人間関係に大きな支障をきたすことが特徴です。
多くの方が「性格の問題」「気の持ちよう」と誤解し、長年我慢を続けてしまいますが、社交不安障害は医学的に診断・治療が可能な疾患です。適切な治療を受けることで、不安を軽減し、自分らしい生活を取り戻すことができます。

社交不安障害の主な症状

社交不安障害では、以下のような症状がみられます。

 

心理的症状

  • 人前で話すことへの強い恐怖人前で話すことへの強い恐怖
  • 他人から否定的に評価されるのではないかという過剰な不安
  • 失敗や恥をかくことへの恐怖
  • 注目される場面を強く避けたい気持ち
  • 不安場面を事前に何度も考えてしまう(予期不安)

 

身体症状

  • 動悸、息苦しさ
  • 手や声の震え
  • 発汗(特に手汗・脇汗)
  • 顔の赤面
  • 吐き気、腹部不快感
  • めまい、頭が真っ白になる感じ

 

行動面の特徴

  • 会議や発表、電話対応を避ける
  • 人と目を合わせられない
  • 外食や公共の場を避ける
  • 不安を隠すために過度に準備や練習をする
  • アルコールに頼って場をしのぐ
これらの症状が6か月以上続き、生活に支障をきたしている場合、社交不安障害が疑われます。

社交不安障害の有病率と発症時期

社交不安障害は決して珍しい病気ではありません。生涯有病率は約10%前後とされ、不安障害の中でも比較的頻度の高い疾患です。
多くは思春期から青年期に発症し、初期には「人見知り」「緊張しやすい性格」として見過ごされやすい傾向があります。適切な治療を受けずに放置すると、症状が慢性化し、うつ病やアルコール依存症などを合併するリスクも高まります。

社交不安障害の原因

社交不安障害は、単一の原因ではなく、複数の要因が関与して発症すると考えられています。

生物学的要因
  • 脳内神経伝達物質(セロトニン、ドーパミンなど)の機能異常
  • 不安を感じやすい脳の反応特性
  • 遺伝的要因(家族内発症の傾向)

遺伝的要因(家族内発症の傾向)

心理的要因
  • 過去の失敗体験や恥ずかしい経験
  • 他者評価を過度に重視する認知のクセ
  • 完璧主義や自己肯定感の低さ

心理的要因

環境要因
  • 厳しい養育環境
  • いじめや対人トラブル
  • 社会的プレッシャーの強い環境

環境要因

これらが複雑に絡み合い、社交場面への強い恐怖や回避行動が形成されます。

他の疾患との違い

パニック障害との違い

パニック障害では、突然の強い発作が特徴ですが、社交不安障害では「人前」「評価される場面」に限定して不安が強まる点が異なります。

うつ病との違い

うつ病では気分の落ち込みや意欲低下が持続的にみられますが、社交不安障害では特定の社交場面で不安が中心となります。ただし、両者は併存することも少なくありません。

自閉スペクトラム症との違い

自閉スペクトラム症では社会的理解の特性が背景にありますが、社交不安障害では「できるが怖い」「評価が怖い」という点が中心です。

社交不安障害の治療方法

社交不安障害の治療は、薬物療法と心理療法を組み合わせて行うことが効果的とされています。

【薬物療法】

  • SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
    不安症状の軽減に有効で、第一選択薬として用いられます。
  • SNRI
    症状に応じて使用されます。
  • 抗不安薬
    一時的な不安軽減に使用されることがありますが、慎重な管理が必要です。

【心理療法】

  • 認知行動療法(CBT)
    不安を強める考え方のクセを修正し、段階的に社交場面に慣れていく治療法です。
  • 曝露療法
    安全な環境で少しずつ不安場面に向き合います。
  • 支持的カウンセリング
    不安や悩みを言語化し、安心感を高めます。
当院では、患者さま一人ひとりの状態やご希望に合わせて、無理のない治療計画を立てています。

治療によって期待できる変化

適切な治療を続けることで、
  • 不安の強さが軽減する
  • 社交場面を避けずに行動できるようになる
  • 自己評価が改善する
  • 仕事や人間関係の幅が広がる
といった変化が期待できます。完全に不安がゼロになることを目指すのではなく、「不安があっても行動できる状態」を目標とすることが大切です。

受診を迷われている方へ

「こんなことで受診していいのだろうか」
「性格の問題だと思われないだろうか」
そのように悩まれる方は少なくありません。
しかし、社交不安障害は治療によって改善が見込める疾患です。早めにご相談いただくことで、回復までの道のりが短くなることも多くあります。
当院では、心と体の両面から丁寧にお話を伺い、安心して治療を受けていただける環境づくりを大切にしています。どうぞ一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。