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機能性ディスペプシアについて

◆機能性ディスペプシア(FD)とはどんな病気か?

機能性ディスペプシア(FD:functional dyspepsia)は、症状の原因となるような器質的(構造的・形状的)な異常を認めないにもかかわらず、蠕動運動といった消化管としての機能が損なわれることで、慢性的な食後のもたれ感や早期膨満感、心窩部痛や心窩部灼熱感といった症状を呈する疾患です。日本人におけるFDの有病率は、健診受診者の15%前後、上腹部症状を訴えて病院を受診されたる者さんの50%前後と言われております。

 

◆FDの原因は?

FDの原因としては、遺伝要因、生理学的要因(消化管運動機能、内臓知覚、炎症、ピロリ菌感染、感染性胃腸炎による腸内細菌叢の変化など)、心理社会的要因(日常のストレスとその対処スキル、精神心理状態、社会的支援の有無など)などが考えられています。これらが互いに複雑に影響し発症に関与していると言われています。

 余談ですが、心理社会的因子が密接に関与して器質的・機能的障害が認められる病態のことを”心身症”と呼んでいます。心身症として取り扱われるべき病態は多数知られていますが、FDは心身症と呼ばれる代表的な疾患の一つです。心療内科という診療科は元々、心身症を診るための専門分野として誕生したという歴史があります。

 

◆FDはどのように診断されるか?

診断においては、症状の原因となりそうな器質的疾患を除外することがまず重要です。内視鏡や消化管造影、CTやエコーといった検査では異常はない場合にFDを疑います。FDは、症状の程度や頻度、持続期間によって診断がなされます。

 FDの診断基準の要点を簡潔にまとめると、日常生活において辛いと感じる①食後のもたれ感、②早期膨満感、③心窩部痛、④心窩部灼熱感といった症状が、慢性的に(6ヶ月以上前から、直近3ヶ月はずっと)持続しているもの、となっています。

 

◆FDの治療は?

まず、FDは器質的な異常を認めない疾患であるため、苦痛な症状があるのに「異常はない、病気ではない」、時には「精神疾患である」などと説明されることで、余計に悩まれる方もいらっしゃいます。先述のように、FDは心理社会的因子など複数の要因によって生じる、身体機能不全の病気です。こういったことを丁寧に説明し、余計な不安を取り除いていくことがまず重要です。

 一般的な心身症の治療として、ストレスコントロール、規則正しい生活、暴飲暴食の是正などの生活指導を行います。薬物療法としては、胃酸分泌抑制薬や消化機能改善薬、漢方薬が用いられます。FDにうつ病や神経症性障害を合併することも多く、抗うつ薬や抗不安薬なども用いられます。なお、ピロリ菌陽性者の場合は除菌治療を行うことが推奨されています。

 これらの治療でも難渋する場合、改めてストレスや心理的要因を評価し、認知行動療法など踏み込んだ心療内科的治療を検討していきます。

 

引用文献:「心身症の診断と治療」永田勝太郎 著

医師 本間洋州