HOME > お知らせ > 院長ブログ > 腸内細菌の善玉菌と悪玉菌の影響を知り、腸活を継続しましょう?

腸内細菌の善玉菌と悪玉菌の影響を知り、腸活を継続しましょう?

腸内細菌や腸内環境はがん、動脈硬化、糖尿病、アレルギー、うつ病などの精神病、そして太りやすさや老化のしやすさまでにも関係しているということが分かってきました。腸内細菌の善玉菌と悪玉菌、日和見菌のバランスが、いかに健康を左右する上で重要なものかということが、ここ数年で分かってきています。

善玉菌が優勢の腸内環境の状態の時には健康が維持され、悪玉菌が優勢になると上記のような病気や代謝障害が招かれます。

※日和見菌は、善玉菌が優勢の時は善玉菌の味方になり、悪玉菌が優勢になると見れば悪玉菌の味方をする菌たちで、名前のごとし強いものを頼って生存している菌類です。

今回は、腸内善玉菌(良性菌)と悪玉菌(悪性菌)の働きを簡単にまとめてみました。

 

●腸内善玉菌の働きについて

1)病原体の侵入を防ぎ、未消化物を分解、有害物質の解毒や排泄作用

 腸内環境を保つことにより、免疫力を高め細菌やウィルスなどの体内への侵入を防御し、腸内の酸性度を保ち悪玉菌が繁殖しにくい環境を作っています。口から摂取した未消化物の分解、肝臓からの解毒物質を含めた異物の体内からの排除をおこないます。

体内にある有害物質の80%は腸から排泄されますが、腸内環境が悪いと体内に再吸収されてしまう悪循環が生じます。

2)短鎖脂肪酸(酢酸、酪酸、プロピオン酸など)の合成

 人は、自力で食物繊維(多糖類のセルロース)を消化する酵素を合成できません。しかし、食物繊維を善玉菌が発酵することにより、酢酸、酪酸、プロピオン酸のような短鎖脂肪酸に変換しエネルギー源として吸収しています。特に、腸粘膜細胞の大切なエネルギー源です。

また、これらが腸内の酸性度を保ち、悪玉菌が増殖しにくい環境をつくり出します。

(健常者では、酢酸、酪酸、プロピオン酸が腸内の短鎖脂肪酸の97%を占めます。)

食物繊維は、大腸内で善玉菌により食後長時間かけて体内にエネルギーとして吸収されるため、血糖値を安定させる作用をします。

さらに酪酸は、大腸前癌病変の形成を抑制し、大腸癌を予防、抑制する可能性が指摘されて

います。(日本では、宮入菌が酪酸を作る酪酸菌として有名で、整腸剤のミヤBMとして用いられています。)

3)ビタミンB群の合成

 善玉菌は、ビタミンB2、B6、B12、パントテン酸(ビタミンB5)、葉酸、ビタミンK、ビオチンなどのビタミン類の生成をしています。悪玉菌が優勢で腸内環境が悪いと、これらの重要なビタミンが不足し心身の不調の原因になります。

4)体内の免疫細胞の70%が腸で産生され、全身に送り出されます。

 免疫細胞(リンパ球)は、小腸の壁のパイエル板(リンパ節)に存在し、腸内のさまざまな細菌やウィルス、毒物、食べ物のかけらなどの異物に接触することで、人体にとって有害な相手を認識できるようになり、適切に体内異物に免疫反応することを学習します。そのリンパ球が全身を循環し、また腸に帰ってくることを繰り返しています。(これを、リンパ球

のホーミングと言います。)そのため、腸内環境が悪いと免疫細胞が十分な学習ができずに免疫力の低下や、逆に過剰免疫が起こります。

5)ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質を合成する前駆物質を産生します。

 多くの実験や研究から、腸内善玉菌がセロトニンやドーパミンなどのホルモンの元に成る物質や脳神経成長因子(BDNF)を産生し、脳に送っていることが報告されており、「腸は第二の脳である」と言われています。

 

●腸内悪玉菌の悪影響について

1)上記の善玉菌の働きを阻害します。

*免疫力が低下し、感染やアレルギー反応が起きやすくなります。

*腸内の未消化物の腐敗、発酵が生じて胃腸機能に異常が生じます。

*さまざまな毒素が、解毒、排泄しきれなくなり体内に残留、蓄積が生じます。

*必要な栄養素の吸収やビタミンなどの不足による細胞の働きが低下するだけでなく、毒物による細胞の新陳代謝が悪くなり、様々な臓器や組織の機能低下をきたします。

 脳神経細胞の機能低下は、精神症状や身体症状をもたらします。

2)腸内悪玉菌は、腸粘膜細胞を破壊します。

*リーキーガット症候群(腸漏れ症候群or腸管壁滲漏症候群)

 悪玉菌は、腸粘膜細胞を分解する消化酵素を分泌し、異物に対する防御壁の腸粘膜に穴をあけます。そのため、正常では簡単に腸から体内に侵入することが出来ないはずの病原菌、菌体毒素、有害化合物や重金属、未消化食物残渣物などの異物が体内に入り込み、全身的な感染症、アレルギー、免疫異常などが生じて急性炎症や慢性炎症が体内で繰り返されることになります。(腸粘膜の破壊によるリーキーガット症候群の発症メカニズムです。)

3)悪玉菌が作る菌体毒素や有害物質の体内拡散による不調が生じます。

 これらの有害物質が、体内に拡散されることで、全身のあちこちで慢性炎症が起き、様々な臓器や組織の細胞代謝異常、ホルモンバランスの異常、脳神経や自律神経の異常、免疫異常などが招かれ、悪循環となり慢性の体調不良や様々な疾患の原因になります。

 

まとめ

ちょっと聞き慣れない用語もあり、読みにくかった部分もあると思いますが、腸内環境を整えて置くことの重要性を知っていただけたと思います。

年末年始で食事や生活リズムがくずれ、腸内環境が乱れたかなと心当たりがあるかたは、ぜひ善玉菌を増やすように節制ください。

 

院長 佐久間一穂

新着情報

2024.03.28
クリニックのお知らせ初診枠(心療内科)のご案内
2023.07.15
院長ブログ自律神経検査により心身のストレス度をチェックしませんか!
2023.07.11
栄養士ブログ野菜を摂ろう!! *大葉編*
2023.04.18
栄養士ブログ野菜を摂ろう‼ ーキャベツ編ー
2023.02.24
臨床心理士ブログ『イメージ』を使う
2023.02.21
栄養士ブログ発酵食品を取り入れよう!