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パニック障害と間違われやすい低血糖症が増えている!

急な不安感、動悸、めまい、振るえ、息苦しさ、意識がなくなりそうになるなどの発作症状をきたすパニック障害の患者さんの中に、通常の治療では十分に改善しないケースが増えているように思われます。

その理由の一つとして、「糖尿病ではないのに低血糖症状を起こす方」が増えていることがあげられるのではないかと考えています。

低血糖時には、パニック症状と非常に似た症状が起こります。

これまで低血糖症状といえば、糖尿病やインスリン産生腫瘍があるような患者さんを疑うのが普通だったので、そのような既往のない人が低血糖症状を起こすと、原因がわからずパニック障害と診断されてしまうことが増えていると考えます。

実は、私もパニック症状が通常の治療で改善せず困惑するケースが増えて、何故だろうと疑問を抱いていたのですが、「機能性低血糖症」という症状を呈するケースがあることを知り、パニック症状の患者さんの受診時には、低血糖症状がないかを問診するようにしています。

 

●パニック障害と機能性低血糖症のちがいは?

パニック障害の場合は、閉鎖空間、緊張や不安になる場面や状況のもとで発作を体験し、同じような場面に遭遇すると、再度同じ症状がでる恐怖感、不安感(予期不安)が生じパニック症状を繰り返します。

機能性低血糖症では、上記のような場面に無関係にパニック様症状が起こります。食事との関連が多く、食後に数十分から数時間経過した頃や、起床時、夕方、就寝時などの空腹時などに症状が起きることが多いと思われます。

低血糖なら、検査をすればわかるはずですが、通常の健康診断や人間ドックなどでは血糖値やHba1cが正常範囲内のことが多く、専門的な糖負荷試験や24時間血糖検査などをしないと診断できないことが稀ではありません。

両者の類似点として、自律神経(交感神経)の興奮や不安定さが影響しており、機能性低血糖症でも抗不安薬で効果を示すことが少なからずあるということです。その点も、パニック障害と間違われやすい理由と思われます。

 

●低血糖の症状とは?

*血糖降下時のホルモン過剰分泌によってもたらされる主な症状

手足の冷え、動機、頻脈、緊張、興奮、呼吸が浅い  
神経過敏、イライラ、攻撃的になる、うつ  
自律神経の乱れ、不眠、悪夢、恐怖感、焦燥感  
感情表現の欠如、自殺観念、幻覚・幻聴、精神錯乱 など

*エネルギー不足による主な症状

異常な疲労感、起床時の無力感、日中特に昼食後の眠たさ  

集中力の欠如、めまい、ふらつき、物忘れ、眼のかすみ  

眼前暗黒感、日光がまぶしい、甘い物を渇望する、口臭  

失神発作、偏頭痛 など

症状が強い場合には、身体的な症状だけでなく、様々な精神症状も起きます。

 

●機能性低血糖症の原因は?

*糖質の過剰摂取

最も代表的な原因は、糖質の過剰摂取です。

菓子類やジュースに含まれる糖分は、それだけで身体が即時に対応できる量を超えています。白米や食パンなどの精製穀物も、簡単に消化され糖に変換されやすいため、過剰摂取は血糖値を上げやすく、インスリンの過剰反応を招き低血糖が起きます。

膵臓はインスリンを分泌することで血中のブドウ糖の濃度を安定させています。しかし、繰り返す過剰な糖質摂取に反応した結果、膵臓は疲弊し、分泌するインスリンの量を制御出来なくなり、必要以上に血糖値を下げてしまいます。

*ストレス・自律神経の乱れ

ストレスも血糖コントロールに関わる副腎を疲れさせるので、低血糖の原因となります。不規則な生活による自律神経の乱れも同様です。

*食生活の乱れ

炭水化物、タンパク質、脂質などのバランスが崩れた食生活の習慣化、不規則な時間での食事摂取、無理なダイエットの繰り返し、野菜などの食物繊維不足、早食いなど

*カフェイン・タバコ・アルコール

カフェイン・アルコール・タバコ等も、即時に血糖を上げる働きを持っているので、過剰な摂取は血糖コントロール機能に悪影響を与えます。

*胃下垂・貧血・アレルギー・甲状腺機能障害

胃下垂・貧血・アレルギー・甲状腺機能障害等がある方は、機能性低血糖症を起こしやすい体質と言えます。更に機能性低血糖症がそれぞれの症状を重くするという悪循環も生まれてしまいます。

*腸内環境不良

腸内の悪性菌が増殖すると、栄養の消化吸収が悪くなることや、糖の吸収力に異常をきたすこと、悪性菌がインスリンを分泌させ血糖値を下げる代謝産物を産生します。

 

●機能性低血糖症の治療について

上記の原因になっていることを改善することですが、特に食生活を見直し糖質過剰摂取をやめて、栄養素のバランスが取れた食事を一日3食、規則的に摂取することが必要です。それでも、低血糖症状が起きる場合には、カロリー摂取過剰にならないように、食間にタンパク質を摂取することで血糖値の安定化を図るのが有効です。

(※糖質には果糖も含まれますので、果物の摂りすぎにも注意が必要です。)

腸内環境が悪い方は、まずは腸内環境の改善をはかることが大切です!!

 

パニック障害と診断され、通常の治療を受けてもなかなか改善しない方や、上記のような機能性低血糖症の原因に心あたりがある方は、専門的な血糖検査や甲状腺ホルモン検査、貧血、胃の消化機能検査、腸内環境の検査など検討することをお勧めします。

 

参考文献:「低血糖症と精神疾患治療の手引」柏崎良子著 

 

治療参照 ブレインケア・腸内環境ケア外来👉栄養療法外来👉

 

院長 佐久間一穂

 

 

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