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遅発型食物アレルギーとは?「プロテニスのジョコビッチ選手も悩まされた!!」

心療内科医のブログに食物アレルギーのことが書いてあるのは、不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は関係がとても関係が深いのです。

遅発型食物アレルギーの症状をあげると、不安神経症、抑うつ、集中力不足、神経過敏症、情緒不安定、不眠、腹痛、下痢、食後の膨満感、過食、慢性疲労、めまい、頭痛、不眠、吐気、むくみ、慢性湿疹、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹など精神的な症状や、身体的な症状が伴に見られるのです。まさに、心療内科の心身医学的な考慮が必要な病態といえます。

しかも、いろいろな病院に行って精密検査しても原因がわからず、治療もうまく行かずに、最終的にストレスや精神的な問題、自律神経失調症などが原因ではないかと言われ相談に来られる方が多いのです。

 

●原因がわからないのは何故か?

一般的に食物アレルギーとしてあげられるのは、IgE抗体による「即時型」の食物アレルギーです。即時型は食べ物を摂取して通常30分以内に蕁麻疹やかゆみなどの皮膚の症状や喘鳴や咳、腹痛、下痢、嘔吐などの症状がおこります。

しかし、このIgG抗体が原因の遅延型食物アレルギーは、食べ物を摂取してからすぐには症状があらわれずに、数時間~数日後に症状が現れます。さらに、症状自体が様々でとても多く、場合によっては原因食物を避けても数週間から数ヶ月間も症状が続く事もあり、原因である食べ物になかなか気付かないのが特徴です。

多くの方は、食べ物が原因で症状が起きているかさえわからない、疑わない場合が多いのです。まったく、やっかいな病態で、「隠れ食物アレルギー」と名付けた先生がいるほどです。

 

●どうやって診断するのか?

まずは治療者が、このようなタイプの食物アレルギーがあることを知っておく必要があります。でなければ疑いようがなく、検査のしようもありません。

(一般の方たちにも知ってもらい、健康的な食生活が送れるように、情報の啓蒙も必要と考えますが、厚労省では遅発型アレルギーという病名すら認可していないのが現状です。)

次に、前述したような様々な症状があり、一般の検査で原因が特定されにくい、胃腸症状を伴うことが多い、甘い物や小麦、乳製品などの摂りすぎ、肉類の摂取が多く、野菜や海藻類などの食物繊維の摂取が少ないなどの食事の偏りがある方、などの問診から遅発型アレルギーを疑います。

最終的に、血液検査の遅発型IgGアレルギー検査を行い診断します。食物アレルギーの反応は、食物中のタンパク質が十分消化さないままに体内に入り込むことで生じます。

遅発型アレルギーのある方は、一つの食物だけがアレルギーの原因というよりは、多種類の食物が原因になっていることがほとんどです。

その理由は、遅発型アレルギーの原因が腸粘膜の炎症や、以前のブログでも説明したリーキーガット症候群(腸漏れ症候群)であることが多いからです。食物に含まれるタンパク質の未消化部分が腸粘膜の欠損部分から体内に入りこむと、免疫細胞はそれを異物と判断しアレルギー反応を引き起こすのです。

 

●どのような治療が有効か?

アレルギーの原因になっている食品の摂取制限や、腸粘膜に炎症を起こしやすい食物を除去する食事療法が基本です。

検査結果が陽性だった場合は、免疫反応を鎮静化するために原因となる食べ物をなるべく避けたほうがよいです。原因となる食べ物を避けることでアレルギー反応が抑えられる可能性があります。

治療法は検査結果や個々の体調などにより異なりますが、強陽性反応が出た場合には、3~6ヶ月間は原因となる食べ物をなるべく避けることが必要となる場合があります。

中等度の陽性反応の場合には、3~6ヶ月間原因となる食べ物の摂取を3~4日間の間隔をあけたローテーションさせる食事の摂り方を行うようにします。

ローテーション化の目的は、同じ食物を頻繁に摂取することを防ぐことにあります。

遅発型アレルギーの免疫抗体のIgG抗体は、原因物質に約6ヶ月接触しなければ体内から消える性質があるため、約6ヶ月原因アレルギー食品を取り込まないようにします。

ただし、リーキーガット症候群を起こしている患者さんの場合は、腸内細菌のバランスが著しく乱れている可能性が高いため、腸内環境をしっかりと改善する治療が必要です。

 

まとめ

プロテニスプレイヤーのジョコビッチ選手が、このアレルギーで体調不良になり、改善後に世界No.1のプレイヤーに生まれ変わったことが、下記の本に詳しく書かれています。

原因がわからない不調が続き、上記のような症状や状態が当てはまる方は、遅発型アレルギーの検査や腸内環境を調べる検査を受けてみることをお勧めします。

 

<参考文献>

隠れフードアレルギー 上符正志(著)

その「不調」、あなたの好きな食べ物が原因だった? 澤登雅一(著)

ジョコビッチの生まれ変わる食事 ノバク・ジョコビッチ (著)

 

院長 佐久間一穂

 

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