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環境汚染による健康障害「化学物質過敏症」について知っていますか?

昨今、ようやく地球温暖化や海洋汚染問題など地球の環境問題に、積極的に世界中で取り組む動きが見え始めています。地球環境がどんどん悪化していく中で、皆が健康になろうと努力しても限界があるだろうと憂いている人は多いと思うので、この世界の動きは朗報です。

そんな状況下にあり、すでに人体へも化学物質による健康障害が起きており、「化学物質過敏症」がその典型的な例ではないでしょか。

日本では、約100万人の方がこの病気に罹患しているとのことですが、化学物質が健康障害の原因と特定することや、治療にも試行錯誤を重ねている状況にあります。

是非、身の回りに溢れている化学物質に注意して生活してください。

以下、化学物質過敏症支援センターの資料を参考に記載いたしました。化学物質過敏症支援センターでは、患者会などを通じて多くの情報を提供しています。

 

●化学物質過敏症(Chemical Sensitivity:CS)とは?

*化学物質過敏症(CS)とは?

「かなり大量の化学物質に接触した後、または微量な化学物質に持続的に接触した後に、同じ化学物質に再接触した場合に出てくる不愉快な症状」が化学物質過敏症であると定義されています。

最初は1種類の化学物質に反応していただけなのが、途中から非常に多種類の化学物質に反応するように変化することがあり、多種類化学物質過敏症(MCS)といわれます。

日本では、2009年から化学物質過敏症が病名として認められました。

欧米では、多種類化学物質過敏症(Multiple Chemical Sensitivity:MCS)と言われてます。

 

自宅・職場・学校の建物の新築・リフォーム、職業上(美容師、ネイリスト、大工、ペンキ屋、病理検査技師など)の反復曝露、農薬散布、産業廃棄物、職場のタバコの煙、床下のシロアリ駆除、工場の煤煙・排気ガスによる大気汚染などさまざまな揮発性化学物質の急性あるいは慢性の曝露により頭痛、全身倦怠感、不眠、健忘、イライラなど何となく体の不調が続いている人が増えています。

 

これといった特徴のない不定愁訴の様な症状のため、ほとんどが見逃されています。

明らかな体調不良にもかかわらず、病気への知識や経験不足のためや、診断が難しいことなどから総合病院を受診しても「CS」と診断がつかず、医療機関を何カ所も受診する方が、少なくないのが現状です。

アメリカでは10人に1人はCSといわれています。あなたの体の不調ももしかしたら、化学物質が原因かも知れません。

 

●化学物質過敏症の主な症状

<化学物質の影響を疑う>

下記の症状が、何らかの化学物質に接触したり、吸引したりした際や直後から生じた場合には、化学物質過敏症を疑いやすいでしょう。

一方で、日々の生活で徐々に化学物質の蓄積がおこり、急に症状が顕著になった場合には、化学物質が原因かがわかりにくいので、下記に記載したような化学物質やそれを含む製品への接触がないかを振り返ることが大切です。

<症状>

軽症の場合には、仕事のストレスの蓄積や睡眠障害による疲労、更年期障害、自律神経失調症や心身症などとの判別が難しいので、患者自身もひょっとしたら化学物質過敏症かもしれないと疑うことや、医療関係者もCSの可能性を念頭に置いて診療することが早期発見に重要です。

【目】かすむ / 視力低下 / 物が二つに見える / 目の前に光が走るように感じる /  まぶ  しい/ ちかちかする / 乾き /涙が出やすい /ごろごろする / かゆみ / 疲れ

【鼻】 鼻水 / 鼻詰まり / かゆみ /乾き / 鼻の奥が重い / 後鼻漏がある/ 鼻出血

【耳】耳鳴り / 痛み / 耳のかゆみ / 音が聞こえにくい /音に敏感になった /

耳たぶが赤くなる / 中耳炎 / めまい

【口やのど】 乾き / よだれが出る / 口の中がただれる / 味覚が低下する/       金属の味がする / 咽頭痛 / のどが詰まり感 /  声がかすれる / 喉頭の浮腫

【消化器】 下痢や便秘 / 吐き気がする / おなかが張る /おなかの痛みや痙攣 /

 胸焼け /げっぷ・おならが多い / 胃酸の分泌過多 / 慢性腸炎

【腎臓・泌尿器】 トイレが近くなる / 尿がうまく出ない / 尿意を感じにくくなる

膀胱炎 / 腎臓障害 / インポテンツ

【呼吸器・循環器】 せきやくしゃみ / 呼吸のしにさ / 過呼吸 / 胸の痛み / 喘息 /   脈が速くなる / 不整脈 / 血圧が変動しやすい

【皮膚】湿疹、蕁麻疹、赤い斑点が出やすい / かゆみ / 引っ掻き傷ができやすい /       汗の量が多い / 皮膚が発赤、青白さが出やすい / 光の刺激に過敏 /むくみ/

      寒さに対して皮膚の血管が過敏になる /にきびのような吹き出物が出やすい

【筋肉・関節】 筋肉痛 / 肩や首がこる / 関節痛  /関節が腫れる

【産婦人科関連】 のぼせ、顔がほてり / 汗が異常に多くなる / 手足の冷え /

おりものが増える / 陰部のかゆみや痛み / 生理不順 / 不妊症 / PMS

【精神・神経】 頭痛/ 手足のふるえや痙攣 / うつ状態や躁状態 / 不眠 / 情緒不安定/

記憶力や思考力の低下  / 怒りっぽくなる

【その他】 貧血を起こしやすくなる / 甲状腺機能障害

※人によって現れる症状が異なり、広範囲の症状が現れる

 

※化学物質が多動や学習障害の原因に!

化学物質過敏症の典型的な症状の一つに、集中力・思考力が欠けて落ち着きがなくなる、感情を制御しづらくなり怒りやすくなる、というものがあります。化学物質に曝露されると「キレる」子どもが(大人も)現実にいます。

一見すると元気で活発な子どもが、実は病気のせいで“多動”になっていた、という例も報告されています。

粗暴だった化学物質過敏症の子どもが(大人も)回復すると、ウソのように優しくなったという症例は、珍しいものではないとのことです。
また、有機リン化合物などの化学物質が、多動を引き起こすという動物実験結果も報道されています(『朝日新聞』2003年10月30日付)。
今日、落ち着きのない子ども、感情を制御できない子どもが、著しく増えています。
親も教職員も、そして子ども本人も気付かないうちに、化学物質の影響を受け、「多動児」「問題児」扱いされている子どもたちも、きっといるのではないかと思われます。

子どもがなぜキレるのかを考える際には、原因の候補に化学物質も含めるべきだと、研究者は指摘しています。

 

●化学物質過敏症の発症要因について

10万種以上の化学物質が流通し、さらに毎年約1000種類の新たな化学物質が増えている状況です。「化学物質の開発・普及は20世紀に入って急速に進んだものであることから、人類や生態系にとって、それらの化学物質に長期間暴露されるという状況は、歴史上、初めて生じているものです」(2003年版『環境白書』より)

「便利な生活」のために、化学物質を開発、利用していくことが優先され、安全性の検証は後回しにされており、「環境ホルモン」「化学物質過敏症」など、従来予想できなかった新たな問題が表面化してきたと考えられています。

 

1)シックハウスや農薬などで発症

  • 化学物質過敏症(CS)の発症原因の半数以上が、室内空気汚染です。

室内空気汚染による健康影響は、「シックビル症候群」「シックハウス症候群」とも呼ばれています。自宅や職場、学校などの新築、改修、改装で使われる建材、塗料、接着剤から放散される、ホルムアルデヒド、揮発性有機化合物(VOC)などが、室内空気を汚染するのです。

  • 建築物自体だけでなく、室内で使われる家具、殺虫剤、防虫剤や、喫煙なども室内汚染を引き起こし、CSの発症原因になります。
  • 室内、屋外を問わず盛んに使われている有機リン系農薬(殺虫剤)は、さまざまな毒性(神経作用、アレルギー悪化、視力低下など)が指摘されています。

特に問題なのが、有人・無人ヘリコプターによる空中散布です。

ガス化した農薬が、対象の田畑や森林だけでなく、周辺の住宅地などにも長期間留まり、有機リン中毒やCSなど、深刻な健康被害をもたらしています。

  • 農産物生産以外の目的で使われる農薬(シロアリ防除剤、庭・公園・街路樹の殺虫剤など)は、ごく一部を除いて規制がなく、発症原因となったり、発症者を苦しめています。

 

※化学物質過敏症の原因

患者221名(女性164名、男性57名)。6~62歳(平均42歳)。

シックハウス   59%

農薬・殺虫剤  21%

有機溶剤            8%

その他               12%

北里研究所病院臨床環境医学センターの坂部貢先生による

 

2)有機溶剤を扱う仕事や大気の汚染で発症

  • 仕事上扱う有機溶剤なども、CSの発症原因になります。パーマ液や合成洗剤(シャンプー)を扱う美容関係、消毒液を扱う医療関係、化学関係、印刷関係などで働く方々が発症するケースが目立っています。
  • そのほか、ごみ処理施設による大気汚染で、多くの周辺住民が発症したケースもあります(「杉並病」など)。

 

●治療や予防について

化学物質過敏症を発症しないために、化学物質にできるだけ曝露されないよう、より安全な生活習慣を心がけてください。化学物質過敏症は多くの場合、特別なものによって発症するのではありません。

化学物質の安全性・危険性については完全には解明されていないこと、また、単一の化学物質は安全でも、身の回りには数百種類かそれ以上の化学物質が常に存在し、その複合影響があり得ることにご留意ください。

【具体的な対策】

・室内空気を汚さない、換気の励行。

噴霧式・スプレー式殺虫剤、芳香剤、消臭剤は使用しない。

蚊取り線香は使用しないか短時間に限って使用。

衣類防虫剤は使用しないか密閉容器中で使用。

あらゆるスプレー類は使用しないか戸外で使用。

・食品は安さだけでなく安全性にも注意を払って下さい。

・合成洗剤はやめて石けんを使用する。

・住宅の新築・改修・改装は特に注意が必要です。

・「あれば便利」程度で、なくても良いものは使わない。

・家庭だけでなく、職場、学校・幼稚園などでも同様に注意が必要です。

・適度な運動やサウナなどで汗を発汗することでデトックスになります。

 

<最近は、積極的治療として下記を用いることもおこなわています>

*化学物質の解毒物質(グルタチオン、亜鉛など)

(毒素を吸着するクレイ(粘土)、活性炭、チャコールなど)

*化学物質による慢性炎症の酸化ストレスに対する抗酸化物質摂取

 (‎VitC、VitA、VitE、セレン、フィトケミカルなど)

*細胞の新陳代謝を高め解毒を助ける栄養

  (VitB6、VitB2 、VitB12、葉酸、マグネシウム、カルシウム、亜鉛など)

*免疫力を高める栄養 (VitDなど)

 

※当院での検査・治療について

 当院では、有害有機化学物質の蓄積を調べるGPL-TOX尿検査を行っています。

 治療として、原因と思われる化学物質の解毒、毒素排泄や慢性炎症ストレスを除去。

 グルタチオンによる解毒、毒素吸着剤、ハーブにて毒素の炎症抑制を組み合わせた     

 Detox治療を行っています。

 

<参考文献>

「化学物質過敏症」宮田幹夫・北里研究所臨床環境医学センター客員部長著

化学物質過敏症支援センター https://cssc4188cs.org/

東京都健康安全研究センター

http://www.tokyo-eiken.go.jp/lb_kankyo/kankyo/s3/

複合慢性中毒および化学物質過敏症と診断 http://www.nissaren.or.jp/393

 

院長 佐久間一穂

 

 

 

 

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