有害化学物質による化学物質過敏症が増えている!!
全世界での化学物質は約1億200万種類あり、日本では約6万5千種類もの化学物質が使われています。化学物質は私たちの生活を豊かにし、また、便利で快適な毎日の生活を維持するうえで欠かせないものとなっていますが、これらを使用することで、直接体内に化学物質を取り込んでいたり、大気や水、土壌を通じて排出されたものが循環し、体内に取り込むことを繰り返しています。そうした化学物質の中には環境や人の健康に影響を及ぼすものがあります。
現在(2022年)、化学物質が原因で起きる化学物質過敏症の患者数は、日本では約1千万人にものぼると言われています。その他にも、環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)による障害を受けている方などもいますが、どの位の患者数がいるかの実態は把握されていません。
遺伝子組換え作物の生産に使用される、除草剤グリホサートの蓄積による発ガン訴訟など記憶に新しいところですが、それらは氷山の一角であり、その他にも長期的な化学物質の使用が、多くの病気や症状、不妊症、子供の成長障害など、様々な健康障害の隠れた原因になっていることは容易に推測されます。
化学物質過敏症患者数の推移
http://kyorinpg.xsrv.jp/category9/entry257.html
●化学物質過敏症(CS)とは
化学物質過敏症は過敏という名が示すように、ごく少量の物質にでも過敏に反応する点ではアレルギー疾患に似ています。最初にある程度の量の物質に暴露されると、アレルギー疾患でいう“感作”と同じような状態となり、二度目に同じ物質に少量でも暴露されると過敏症状を来たします。時には最初に暴露された物質と二度目に暴露された物質が異なる場合もあり、これは多種化学物質過敏症と呼ばれます。
化学物質過敏症はこのようなアレルギー疾患様の性格だけでなく、低濃度の化学物質に反復暴露されていると体内に蓄積し慢性的な症状を来たすという中毒性疾患に近い性格も兼ね備えています。
化学物質過敏症は未解明な部分が多い疾患ですが、このようにアレルギー性と中毒性の両方にまたがる疾患、あるいはアレルギー反応と急性・慢性中毒の症状が複雑に絡み合っている疾患であると考えられています。
<化学物質過敏症の症状>
化学物質過敏症の主な症状は、頭痛、感覚異常、呼吸困難、疲労感など多様であり、どんな化学物質にどのくらいの量でさらされると症状が出るかは個人差があります。
*その他の症状
- 自律神経障害:発汗異常、手足の冷え、頭痛、易疲労性
- 内耳障害:めまい、ふらつき、耳鳴り
- 気道障害:咽頭痛、口渇
- 循環器障害:動悸、不整脈、循環障害
- 免疫障害:皮膚炎、喘息、自己免疫異常
- 運動器障害:筋力低下、筋肉痛、関節痛、振せん
- 消化器障害:下痢、便秘、悪心
- 眼科的障害:粘膜の刺激症状、調節障害、視力障害
- 精神障害:不眠、不安、うつ状態、不定哀訴
<どのようなものに反応を起こすのか>
香料等を含む洗剤、柔軟剤、アルコール消毒剤、芳香剤、消臭剤などの日用品や化粧品
殺虫剤や虫よけスプレー、農薬接着剤や塗料、住宅建材、排気ガス暖房等の燃焼ガス など
1)シックハウスや農薬などで発症
*化学物質過敏症(CS)の発症原因の半数以上が、室内空気汚染です。
室内空気汚染による健康影響は、「シックビル症候群」「シックハウス症候群」とも
呼ばれています。自宅や職場、学校などの新築、改修、改装で使われる建材、塗料、
接着剤から放散される、ホルムアルデヒド、揮発性有機化合物(VOC)などが、室内
空気を汚染するのです。
*建築物自体だけでなく、室内で使われる家具、殺虫剤、防虫剤や、喫煙なども室内汚
染を引き起こし、CSの発症原因になります。
*室内、屋外を問わず盛んに使われている有機リン系農薬(殺虫剤)は、さまざまな毒
性(神経作用、アレルギー悪化、視力低下など)が指摘されています。
特に問題なのが、有人・無人ヘリコプターによる空中散布です。
ガス化した農薬が、対象の田畑や森林だけでなく、周辺の住宅地などにも長期間留ま
り、有機リン中毒やCSなど、深刻な健康被害をもたらしています。
*農産物生産以外の目的で使われる農薬(シロアリ防除剤、庭・公園・街路樹の殺虫剤
など)は、ごく一部を除いて規制がなく、発症原因となったり、発症者を苦しめてい
ます。
2)有機溶剤を扱う仕事や大気の汚染で発症
- 仕事上扱う有機溶剤なども、CSの発症原因になります。パーマ液や合成洗剤(シャンプー)を扱う美容関係、消毒液を扱う医療関係、化学関係、印刷関係などで働く方々が発 症するケースが目立っています。
- そのほか、ごみ処理施設による大気汚染で、多くの周辺住民が発症したケースもあります(「杉並病」など)。
<治療や予防について>
化学物質過敏症を発症しないために、化学物質にできるだけ曝露されないよう、より安全な生活習慣を心がけてください。化学物質過敏症は多くの場合、特別なものによって発症するのではありません。
化学物質の安全性・危険性については完全には解明されていないこと、また、単一の化学物質は安全でも、身の回りには数百種類かそれ以上の化学物質が常に存在し、その複合影響があり得ることにご留意ください。
【具体的な対策】
・室内空気を汚さない、換気の励行。
噴霧式・スプレー式殺虫剤、芳香剤、消臭剤は使用しない。
蚊取り線香は使用しないか短時間に限って使用。
衣類防虫剤は使用しないか密閉容器中で使用。
あらゆるスプレー類は使用しないか戸外で使用。
・食品は安さだけでなく安全性にも注意を払って下さい。
・合成洗剤はやめて石けんを使用する。
・住宅の新築・改修・改装は特に注意が必要です。
・「あれば便利」程度で、なくても良いものは使わない。
・家庭だけでなく、職場、学校・幼稚園などでも同様に注意が必要です。
・適度な運動やサウナなどで汗を発汗することでデトックスになります。
ミチワクリニック
院長 佐久間一穂
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